上半期、一番おもしろかった本

プロローグで、死刑執行のために看守がやってくるところが描かれて、いっきに物語に引き込まれて行きます。

主人公の、田中雪乃はアパートに放火して、元恋人の奥さんと幼い双子の赤ちゃんを死なせた罪で裁判の

結果、死刑判決を受け、控訴せずに死刑が確定し、服役しています。

 

事件を起こした直後、

テレビでは、ストーカーで異常な女のような印象で報道されます。

過去、中学生の時に、強盗致傷事件を起こし、施設に入っていたことも明かされ、いかにも、事件を起こしそうな

人物として、描かれています。

 

事実はどうなんだろうと思いながら、読み進めていくと、徐々に、全く違った姿が浮かび上がってきます。

雪乃が生まれた時のいきさつや子供のころのことを良く知る産婦人科医、

未婚で子供を産んだ雪乃の母親と結婚し、姉妹として、過ごした血の繋がらない姉、

学生の時に、雪乃の裁判を傍聴し、刑務官になった女性、

雪乃の中学の時の女友達、

雪乃の元恋人の友達の男性、

雪乃の子供時代の友達だった男の子など、

各々が触れた本当の雪乃の姿が明らかになるにつれ、本当に孤独でさみしい人生を送ってきたことが、明かされて行きます。

 

元恋人に捨てられた時、人生に絶望し、事件を起こしたという、単純な話しではなく、事実は意外な方向へ展開して行き、

衝撃の結末を迎えます。

この本を読んだ後、テレビの事件報道を見る目が全く変わったのは、私だけでしょうか。

 

早見 和真 著 「イノセント・デイズ」