すこし暖かい気持ちになれる本

久しぶりですが、おもしろい本の紹介です。

 

ニューカレドニアをキーワードに5つの物語が語られてゆきます。

最初は、早期退職を勧められている、55歳の平凡なサラリーマン。

会社の業績が年々悪化して、ボーナスが半減したため、借金をしに、

実の兄のところに行ったところ、兄がいる会社のエレベーターが階の途中で

止まってしまいます。30代の若い女の人と2人で閉じ込められてしまいます。

古いビルなのでたまにあることで、1分もすれば動き出すだろうと、あわてることは

ないのですが、

2人きりで黙っているのも気まずいので、2人で何か話をしようということになり、

「自分の好きなもの、とか好きなこと」について、順番に話しなじめます。

でも年の差もあって、好きなことが一致することはなく、話しが盛り上がりません。

 

女の人が、「好きな国もしくは海外旅行へ行くとしたらどこがいいですか」

と質問し、「私ならニューカレドニアかな」と女の人が先に答えると、主人公は

「私も、ニューカレドニアです」と口から出まかせに答えてしまいます。

女の人に「ニューカレドニアのどの島にいきたいですか」と聞かれて、答えに困った

ところで、エレベーターは動き出し、そのまま、さよならと言って別れる。

 

予定どおり、兄に借金をして、帰る途中、本屋さんに寄って、ニューカレドニアの

観光ガイドを買う。ところで話は終わります。

 

そんな、人生が少しうまくいっていない主人公が順番に語られてゆきます。

若いころは、銀行本社の受付嬢で、引くてあまただったのに、婚期をのがして、

しがない男と結婚し、30半ばでテレビドラマのシナリオライターをめざす女の人や、

正々堂々と二股かけられているが、相手との関係を断ち切れず

ずるずると続けている自分にうんざりしている20代終わりのOL、

など、5つの物語が、一見何の関係もないように、進んでいって、

実は最後にニューカレドニアでつながって行くというお話しです。

最後の1話は、ステージⅣのがんと闘う劇団の脚本家が登場します。

タイトルは「ハッピーエンド」話は全然ハッピーエンドな話ではないのですが、

読み終わったときに、さわやかなきもちになれるのです。

 

皆様も時間を作って、一度読んでみてください。

 

秦 建日子 「ザーッと降って、からりと晴れて」